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tsugaru'80

 「新婚旅行は津軽」

1980年1月。
太宰治の生家を見たいというだけで新婚旅行は真っ白な風景しか見ることも出来ない、妻にとって全く退屈な旅となってしまい、今思えばその先の写真家としての数十年の始まりを暗示するかのような掴みどころの無い不安な旅立ちであったことは間

違いの無いことだった。

還暦を迎えた今も写真家であることは変わらないが、生活の糧は常に妻の支えに依っていることも今もって変わらない。

私は雪だけの真っ白な世界にレンズを向け、妻はただただ助手のごとくフィルム交換の手伝いをしながらも、少しだけ楽しそ

うに街をキョロキョロとしていてくれた、と思っているのは私の勝手な思い込みか。
そんなたいへんだが少しだけ楽しい生活がその後現在まで三十数年間続いている、と私は思っているが妻は、、、。

 

                        ー2013年・夏ー

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