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the situation

  「状況

住むまちを撮って居ります。行き交う他人(ヒト)を撮って居ります。僅かに在る草や花も撮って居ります。
夜になればストロボ一発、闇に放ちます。
他人(ヒト)は無表情です。草や花は只、じっと私を見据えます。そして時にその沈黙は雄弁に転じ、私を圧倒します。
私にとって街をイメージするのは困難です。街はあらゆるモノを丸呑みにし、消化不良を起こさんばかりです。
 無造作に、無分別に、何の色別もなしにあらゆるモノを同等に撮り込んで行かねばなりません。他人(ヒト)の無表情 も草や花も、妻や子も、そして自分までも。
私は目の前に立ちはだかる一つ一つの状況を認識し、真っ向対峙する事が今成し得る唯一の方法の様な気がします。

そして写真が極めて私的なまなざしであり、行為そのものであると言う事の実践としてこの写真を提示します。
                       ー1983・初夏ー​

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